「すごい盛り上がってましたよね!」

皆、解放感と達成感に包まれ笑顔を浮かべている。

MANKAIカンパニーの総監督であるいづみと春組メンバーはつい数時間前、ホテルにほど近い劇場で地方公演の千秋楽を迎えたばかりだった。地方での興行はいづみ達にとって初めての試みだったが、一週間ほどの公演はすべてソールドアウトし、観客の評判も上々だった。

「みんな、お疲れさま~! ロミジュリ再演大成功だったね!」

とある地方都市のホテルの宴会場の入り口に、MANKAIカンパニー春組ご一行様の名前が掲げられていた。お盆を持った仲居がしずしずと出てくると、室内からにぎやかな乾杯の歓声が弾ける。

立花いづみが満面の笑みで、水滴の浮かんだビールジョッキを頭上に掲げる。

脚本担当でもある皆木綴がしみじみともらすと、佐久間咲也が大きくうなずく。

「やっぱり、アドリブで方言ネタ入れたのは正解だったな」

A3! めざめる月

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